ジュエリーリフォーム専門店【ジュエリー服部】 | マベパールについて - ジュエリーコラム

ダイヤモンドの指輪・ネックレスのリフォームはジュエリー服部 HOME

マベパールについて

2021/07/01
マベパールについて

その真珠を初めて見たとき、形は涙の形のしずく型をしたイヤリングでした。

よく上皇后美智子様がお身に着けておられ、公務の場面でのニュースで拝見することがありましたが、マベパールという真珠の現物を見るのは初めてでした。

きりっとした白色の中に様々な色の干渉色を持つその強い光沢にびっくりしたものです。
今から、30年以上も前のことです。


まだまだ、新米のジュエリー店員だった私に先輩が教えてくれました。
「マベパールのこの形を美智子様がよくお身に着けていらっしゃるのは、"お悲しみの涙、お喜びの涙"と言って心はいつも国民と共にある、との思いなのよ」と。

人生経験も乏しく、毎日をふわふわと過ごしていた、その頃の若い私には「へえ」といったくらいの感想でしたが、先輩の言葉はなぜか心に残っておりました。

月日を重ね、ようやく、ジュエリーについて、人生について深く思うことが増えた頃、マベパールに携わる機会が多くなり、その真珠の成り立ちをより詳しく知ることができました。

マベパールの特徴は何よりもその形です。
他の真珠と違い、半円の形をしています。その形は、マベ貝の性質から生まれた苦肉の策の結果とも言えます。


本来、真珠の養殖は、貝に手術を施し内臓の中に核を挿入します。
貝は入れられた異物の核を体内に同化しようと必死に分泌物を出し巻き込んでいきます。その分泌物が美しい真珠層となり、巻き込む過程で丸い真珠珠が生まれます。
マベ貝は、激しい潮流の中で生息するため、体の作りが非常に強い筋肉質にできています。
そのため、養殖手術ができるあこや貝や白蝶貝と違い、マベ貝はその強い筋肉質ゆえ、内臓を切り開き核を挿入し真珠層を巻かせるということができません。


では、マベ真珠の養殖はどのように成功したのでしょうか?
それは、貝殻の内側に核を貼り付けて真珠層を形成させる方法です。
貝殻は一番外側に殻皮があり次に稜柱層があり、その内側に真珠層があります。マベパールはその貝殻の内側から分泌される真珠層で形成されます。
筋肉質の体のため、生み出す真珠層の輝きはとても強く、層も厚く形成されます。
特に、日本の奄美大島で養殖されるマベパールは、本来の生息地(熱帯あるいは亜熱帯)の最北端にあたるため、真珠層の一枚一枚が非常に薄くまた、その積み重なりが厚いため、独特の強い虹色光沢を放ちます。
この強い虹色光沢が、半円の形とともに大きな特徴でもあります。


海外では、白蝶貝などの貝殻の内側に核を貼り付け半円真珠を養殖し、マベパールと謳っているものもありますが、マベパールとは本来マベ貝から生まれるものなので、それはマベパールとは言えません。
また、その真珠光沢もマベパールには及びません。

このように、独特の筋肉体質と、日本の養殖技術者の努力が生み出したマベ真珠は、他の真珠とはまた違ったユニークな成り立ちを持つ真珠です。


私たちになじみ深い宝石のひとつである真珠にも、深く知るとそれぞれに興味深い成り立ちストーリーがあります。
今日はマベパールについて、お話しました。



ご質問やご相談等ございましたらどうぞお気軽にお問い合わせください。

ジュエリー服部ではメールやお電話のほかに、ZOOMやLINEを使ったオンライン相談もお受けしております。もちろんご来店されてのご相談もお待ちしております。

ジュエリーリフォーム専門店『ジュエリー服部』では、経験豊富なジュエリーアドバイザーが在籍しております。ジュエリーリフォームやジュエリーの修理については、ジュエリーアドバイザーが丁寧に接客させていただきます。

創業40年以上のジュエリー専門店ですから、ジュエリーのリフォームや修理について、これまでに培った経験も豊富です。店舗は、東京都港区南青山にあり、最寄り駅である表参道駅から徒歩3分ほどです。

東京都内だけではなく、神奈川県や千葉県、埼玉県などの関東圏や、遠く離れた九州や東北地方からもご旅行のついでにご来店され、ジュエリーリフォームやジュエリーの修理についてご相談いただいております。お近くへお越しの際はどうぞお気軽にお立ち寄りください。

コラム一覧へ戻る
page top